最近、レオナには気になる事がある。
小さな竜の騎士、ダイの食べる物についてだ。

にぼしと牛乳。


何を思ったのか、そればかりを大量に食べたがるのだ。
戦乱で余裕の無い今、肉が沢山食べたいといわれるよりマシだが、
栄養バランスから考えればカルシウム過多な状態である。
「ダーイくーん…」
「ひゃーひー?へほは?(なーにー?レオナ?)」
今日も今日とて大量のにぼしと牛乳をたいらげる、レオナの小さな勇者様。
「ダイくん、カルシウムばっかりとってどうしたのよ?骨が丈夫なのは良い事だけど、
他の食べ物も食べなきゃだめよ?」
そう言ってやると、ダイはむぅっと僅かにむくれてみせる。
子供らしく、ぷくっとしたほっぺたは僅かながらに赤い。
「何?どうしたのよ、ダイくん?」
「…いんだよ…」
「?」

「おれ、大きくなりたいんだよ」

「大きくなりたい、ねぇ…」
「だって皆、おれよりおっきいんだもん…」
皆の中で、おれより小さいのチゥだけなんだよ…と呟くダイにレオナは苦笑する。
ダイはまだ12歳なのだ。成長期前なのだから仕方が無い。
それに、その年齢で前線に出て戦える事自体が本来不思議なのだ。
…だが、ダイのその悩みには、少しホッとさせられる。
戦いの中でどんどん強くなっていくダイは、何処か大人びていって。
人ではない事を、痛感させられて。
彼に自分はどんどん追い越されて、取り残されていってしまうのではないか
という不安が心の中で小さく渦舞いて。
…でもこの瞬間、仲間達にだけ見せてくれる年相応の姿がその不安を溶かしてくれる。
「大丈夫よ、ダイくん」
ぷうとむくれるダイの頭を優しく撫でてやりながら、レオナは微笑む。
「焦らなくったって、ダイくんの歳なら今後嫌でも大きくなっちゃうんだから、ね?」
そう言ってもう1回優しく微笑んでみせるが、ダイはまだ複雑な表情をしている。
「…ダイくん?」
「…焦らなくてもって言われても…焦っちゃうよ…」
「?」
ぷいと赤くなってそっぽをむくダイにレオナは疑問符を浮かべる。
余程切実な問題と化しているのだとは思うが、何故そこで赤くなるのか。
そうしていると、ダイがもじもじしながらもその口を開いた。
「ポップヤヒュンケル達は大きいしかっこいいから、皆レオナと一緒に立ってても
絵になっちゃうのに、おれはレオナより小さいからかっこつかないし、それに…
おれは力が強いからレオナを抱え上げる事は簡単だけど、それも皆のようにビシッとしない…」
…とそこまで言って恥ずかしさの限界を超えたのか、
ダイはへたーとテーブルに突っ伏してしまう。
レオナといえば、軽く驚いた顔でしばし思考がストップしている。
そして。



「ダイくん、にぼし…もっと食べる?」



流石のレオナ姫も、こういう事にはカンが鈍ってしまうようです。










余談だが、その後、真剣な顔で木に足からぶら下がる小さな勇者の姿と、
怒れる姫にしばかれる魔法使いの姿があったとか。
END


あとがき。

ダイレオナはダイ君が小さくて可愛いですな。
個人的には5年後には期待大なカポーです。
ちなみに、おまけネタも書いてみましたのでよろしければこちらをクリック
Written by HAYANO Nene